矢次真也の数学コラム:120年越しの正三角形パズル解明に思うこと

 

矢次真也の数学コラム:120年越しの正三角形パズル解明に思うこと

この記事のポイント

  • 📊 120年間未解決だった正三角形パズルが、日本人研究者らによって4ピースが最小であると証明された
  • 🧩 「マッチングダイアグラム」という革新的手法が幾何学パズル解決の鍵となった
  • 🔍 古典的な数学問題の解決が現代の科学技術に応用される可能性

はじめに

こんにちは、矢次真也です。65歳で定年退職後、長年の趣味だった数学について語るブログを始めて早5年が経ちました。若い頃から数学パズルに魅了され、特に図形の変換問題には常に心を奪われてきました。今回は、私が40年以上前に初めて出会い、その後も時折考えを巡らせてきた「正三角形から正方形へのパズル」についての驚くべき進展をご紹介します。

私が高校生の頃、数学の先生から「簡単そうで難しい問題」として教わったこのパズル。当時は「きっと答えはあるんだろうな」と漠然と思っていましたが、まさか2025年になっても議論が続いていたとは…。そして、ついに日本の研究者を含むチームによって証明されたというニュースを目にして、胸が高鳴る思いでした。

第1章:120年の時を超えた正三角形パズルの旅

正三角形パズルの起源と歴史

1902年、イギリスの数学者ヘンリー・アーネスト・デュードニーが雑誌のパズル連載で提示した問題―「正三角形をできるだけ少ないピースに切り分け、並べ替えて正方形を作り出す」という一見シンプルな問いかけ。デュードニー自身は「4ピースが最小の可能性が高い」とする解を発表しましたが、それが本当に最小であるという証明はなされませんでした。

✨ この問題が120年もの間、確固たる証明がなされないまま残されていたという事実に、私は数学の奥深さを感じずにはいられません。

私は定年後、地元の図書館で古い数学雑誌を読み漁るのが日課となっていますが、この問題についての様々な議論を見つけるたびに、メモを取って自分なりに考察してきました。図書館の司書さんには「矢次さん、また数学ですか」と笑われるほどです。

未解決問題としての魅力

なぜこの問題がこれほど長く未解決だったのでしょうか?

🔍 私が考えるに、この問題の難しさは「最小である」ということの証明にあります。4ピースでの解は提示できても、3ピース以下の解が「存在しない」ことを証明するのは、全く異なる次元の難しさがあるのです。

数学における「存在しないことの証明」は常に大きな壁となります。それは無限の可能性を排除していく作業だからです。私も長年この問題を考え続けましたが、決定的な証明方法には至りませんでした。

第2章:北陸先端科学技術大学院大学とMITの共同研究

研究チームの挑戦

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の上原教授と鎌田教授、そしてマサチューセッツ工科大学(MIT)のデメイン教授らの研究チームは、この古典的な問題に最新の数学的手法で挑みました。

📌 特筆すべきは、日本の研究チームが中心となって、世界的な難問に解決の光を当てたという点です。私は日本人として大きな誇りを感じます。

私が若かった頃、日本の数学研究は欧米に比べて後塵を拝している面もありましたが、今やこうして世界をリードする研究が行われていることに、時代の変化を感じずにはいられません。

マッチングダイアグラムという革新的手法

研究チームが用いた「マッチングダイアグラム」という手法は、私にとっても新鮮なものでした。簡単に言えば、図形の辺や角の関係性を視覚的なダイアグラムとして表現し、変換可能性を数学的に検証する方法です。

💡 この手法の素晴らしい点は、複雑な図形変換問題を、より扱いやすい離散数学の問題に変換できることにあります。

私は退職前、エンジニアとして設計の仕事に携わっていましたが、こうした手法が当時あれば、複雑な部品設計にも応用できたかもしれないと思うと、少々残念な気持ちになります。

第3章:証明の核心とその意味

3ピース以下の解が存在しない理由

研究チームは、マッチングダイアグラムを用いることで、正三角形を3ピース以下に分割して正方形を作ることが数学的に不可能であることを証明しました。

🧩 証明の核心は、正三角形と正方形の対称性の違いにあります。正三角形は3回対称(120度回転で同じ形になる)であるのに対し、正方形は4回対称(90度回転で同じ形になる)です。この根本的な対称性の違いが、3ピース以下での変換を不可能にしているのです。

私はこの説明を読んだとき、「なるほど!」と膝を打ちました。数学の美しさは、このような本質的な性質の発見にあるのだと再認識しました。

4ピースでの解法再考

デュードニーが示した4ピースでの解法は、実はベストな解だったのです。しかしそれを最小であると証明できたのは、120年後の現代の数学者たちでした。

⚠️ 私たちが「自明だろう」と思っていることでも、実はその証明には深い洞察と革新的な手法が必要なことがあります。これは数学に限らず、あらゆる分野で心に留めておくべき教訓です。

私はブログでよく「数学的思考の日常への応用」について書いていますが、この事例は「当たり前と思えることでも、本当に確かめる姿勢」の重要性を教えてくれます。

第4章:この発見がもたらす未来への影響

幾何学への貢献

この証明は純粋に数学的な観点からも重要な意味を持ちます。図形の分割と再構成に関する理論は、計算幾何学や離散幾何学の発展に貢献するでしょう。

📌 特に、マッチングダイアグラムという手法は、他の未解決幾何学問題への応用が期待されます。

私は定年後、地元の高校で数学クラブのボランティアをしていますが、次回は是非この問題と証明方法について紹介してみようと思います。生徒たちが目を輝かせる姿が目に浮かびます。

工学や材料科学への応用可能性

研究チームも言及しているように、この成果は工学や材料科学などの分野にも影響を与える可能性があります。

💡 例えば、限られた材料から最適な形状を作り出す材料設計や、効率的な梱包方法の開発などに応用できるかもしれません。

私の前職のエンジニアとしての経験から言えば、このような理論的な発見が実用技術に結びつくまでの道のりは必ずしも短くありませんが、基礎研究の重要性は計り知れません。

まとめ:120年かけて証明された「4」という数字

120年の時を経て、ようやく正式に証明された「正三角形から正方形への最小分割数は4である」という結論。この証明は単なる数学パズルの解決にとどまらず、以下のような意義があります:

  • 数学的真理の探求には時に長い年月が必要であること
  • 日本の研究者が世界的な難問解決に貢献していること
  • 古典的問題の解決が新たな科学技術の発展につながる可能性

私は65歳になった今でも、数学の新しい発見に胸が躍ります。数学は年齢を問わず、知的好奇心を刺激してくれる素晴らしい分野です。皆さんも身近な数学パズルから、思考の楽しさを味わってみてはいかがでしょうか?

次回のブログでは、この「マッチングダイアグラム」という手法について、もう少し詳しく調べてみたいと思います。私のような一般人にも理解できる形で、その本質を探っていきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。数学の世界の不思議について、また一緒に考えていきましょう。

【矢次真也】

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