矢次真也の数学コラム:数学を「捨てる」と脳内物質が減少する驚きの研究結果

 

矢次真也の数学コラム:数学を「捨てる」と脳内物質が減少する驚きの研究結果

この記事のポイント

  • 📊 オックスフォード大学の研究で16歳で数学を「捨てた」学生はGABA濃度が低下
  • 🧠 GABAは脳機能の改善・最適化に重要な役割を果たす神経伝達物質
  • 🔍 高齢者の認知機能維持にも数学学習が寄与する可能性を示唆

はじめに

こんにちは、矢次真也です。65歳で定年退職後、長年の趣味だった数学について語るブログを続けています。若い頃から数学の魅力に取りつかれ、定年後も日々数学パズルや最新の数学研究に触れる生活を送っています。

今回は、数学学習と脳の健康という、私たち高齢者にとって非常に興味深いテーマについての最新研究をご紹介します。「数学を学ばなくなると脳内物質が減少する」という事実は、私のような数学愛好家にとって、自分の趣味が脳の健康維持にも役立っているかもしれないという嬉しい発見でした。

私自身、定年後に認知機能を維持するために意識的に数学パズルに取り組んできましたが、その効果に科学的根拠があることを知り、今後の活動にも一層の自信が持てそうです。

第1章:数学と脳内物質GABAの驚くべき関係

オックスフォード大学の研究が明らかにした事実

オックスフォード大学の実験心理学部門の研究者たちによる2021年の研究で、16歳で数学を「捨てる」選択をした学生は、重要な脳内物質GABA(γアミノ酪酸)の濃度が減少していることが明らかになりました。この研究結果は科学誌『PNAS』(米国科学アカデミー紀要)に掲載されています。

📌 GABAはタンパク質を構成しないアミノ酸の一種で、高等動物においては神経伝達物質として機能し、脳機能の改善や最適化に重要な役割を果たします。

私は長年エンジニアとして働いてきましたが、退職後に脳科学にも興味を持ち始め、地元の図書館で関連書籍を読みあさっています。GABAという物質については以前から名前は知っていましたが、まさか数学学習との関連性があるとは思いもよりませんでした。

GABAの機能と脳への影響

GABAは抑制性の神経伝達物質として知られています。簡単に言えば、脳内の過剰な興奮を抑え、脳の機能を適切に調整する役割を担っているのです。

💡 適切なGABA濃度は、集中力の維持や論理的思考、さらには不安の軽減にも寄与していると考えられています。

私は67歳の妻と二人暮らしですが、妻は数学が苦手で「あなたはなぜそんなに数字が好きなの?」と不思議がります。この研究結果を知った今、「それは私の脳内GABAが豊富だからかもしれないよ」と冗談交じりに答えることができそうです。

第2章:数学を「捨てる」とはどういうことか

教育システムと数学離れの問題

多くの国では、ある年齢になると学生は学ぶ科目を選択できるようになります。日本でも高校で文系・理系に分かれることがありますが、イギリスではさらに明確に16歳(日本の高校1年生相当)で学ぶ科目を絞り込みます。

⚠️ この研究で言う「数学を捨てる」とは、16歳以降の教育課程で数学を選択科目から外すことを意味します。

私が高校生だった1970年代の日本では、理系・文系の区別はあっても、基礎的な数学はほぼ全員が学んでいました。しかし現代では、早い段階で「数学はもう使わない」と決めてしまう若者も少なくありません。この研究結果は、そうした選択が単なる知識の問題だけでなく、脳の生理学的な変化をもたらす可能性を示唆しているのです。

数学学習の本質的な価値

数学を学ぶことの価値は、単に計算ができるようになることではありません。論理的思考力や抽象的概念の操作能力、問題解決能力など、人間の知的活動の基盤となる能力を鍛えることにあります。

✨ 数学を学ぶとは、思考のための「筋トレ」のようなものです。そして筋肉と同様、使わなければ衰えてしまうのです。

定年後、私は地元の高齢者センターで「シニアのための数学パズル」という小さな勉強会を開いています。参加者の中には「学生時代は数学が嫌いだったけど、今はパズル感覚で楽しい」という方も多く、年齢に関係なく学び直しの効果を実感しています。

第3章:脳科学から見た数学学習の意義

認知機能と神経伝達物質の関係

脳科学の進歩により、学習活動と脳内の化学物質の関係が徐々に明らかになってきています。GABAのような神経伝達物質は、学習によって変化するだけでなく、逆に学習能力にも影響を与えています。

🔍 この相互作用は「神経可塑性」と呼ばれる脳の重要な特性の一部です。簡単に言えば、「使えば発達し、使わなければ衰える」という特性です。

私は定年の数年前から、将来の認知症予防のために意識的に頭を使う習慣を作ろうと決め、若い頃に好きだった数学の勉強を再開しました。当時はただの趣味でしたが、このような研究結果を知ると、その選択は思いがけず正しかったのかもしれないと感じます。

数学学習と高齢者の認知機能

この研究は16歳の学生を対象としていますが、高齢者の認知機能にも重要な示唆を与えています。

📌 「使わない能力は衰える」という原則は年齢を問わず適用されます。特に高齢者にとって、数学的思考のような知的刺激は認知機能の維持に寄与する可能性があります。

私の周囲でも、定年後に新しい知的挑戦を続けている友人と、テレビ視聴が主な活動になっている友人では、数年経つと会話の質や問題解決能力に差が出てきたように感じます。科学的に証明されたわけではありませんが、この研究結果はそうした実感を裏付けるものかもしれません。

第4章:生涯学習としての数学の可能性

「数学を捨てた」後の挽回は可能か

研究結果は一見ネガティブに聞こえますが、脳の可塑性を考えれば、「数学を捨てた」後でも、再び学ぶことで脳内物質のバランスを取り戻せる可能性があります。

💡 大切なのは「今からでも遅くない」という認識です。私自身、65歳になった今でも新しい数学的概念を学ぶことができています。

実際、私のブログの読者には「学生時代は数学が苦手だったけど、あなたの記事を読んで興味が湧いた」という方々から多くのコメントをいただきます。数学の面白さは、実は大人になってからの方が理解できることも多いのです。

日常生活に取り入れられる数学的思考

数学を学ぶというと難しい方程式を解くことをイメージする方も多いですが、日常生活の中にも数学的思考を取り入れる方法はたくさんあります。

✨ 例えば、買い物での最適な選択を考える、旅行の経路を効率的に計画する、料理のレシピを人数に合わせて調整するなど、実は私たちは日常的に数学を使っています。

私は週に一度、近所のカフェで「シニアのための数学カフェ」というイベントを主催しています。そこでは難しい数式は扱わず、日常の問題を数学的に考えるヒントを共有しています。参加者からは「数学って実は身近なものだったんですね」という感想をよくいただきます。

まとめ:数学は脳の健康維持にも役立つ「一石二鳥」の学問

オックスフォード大学の研究が示した「数学を捨てるとGABA濃度が減少する」という事実は、数学学習の新たな価値を教えてくれます。

  • 数学学習は知識や技術の習得だけでなく、脳の生理学的な健康にも影響を与える
  • 年齢を問わず、数学的思考を続けることは認知機能の維持に役立つ可能性がある
  • 日常生活の中に数学的思考を取り入れることで、無理なく脳を活性化できる

私は65歳という年齢になって、改めて数学の素晴らしさを実感しています。それは単に問題が解ける喜びだけでなく、明晰な思考を維持し、日々の生活を豊かにしてくれる力です。

皆さんも、かつて「捨ててしまった」数学との関係を見直してみませんか?脳内のGABAも喜ぶかもしれませんよ。

次回のブログでは、高齢者でも楽しめる数学パズルをいくつか紹介したいと思います。数学を「再会」するきっかけになれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。いつまでも好奇心旺盛な脳を維持して、充実したシニアライフを送りましょう。

【矢次真也】

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